児童虐待と児童虐待の防止等に関する法律

児童虐待を防止するために、さまざまな制度や施策があります。

 

2000年に指定された「児童虐待の防止等に関する法律」は、
2004年、2007年に大きく改正が行われ、児童虐待の定義が明記され、
児童に対する虐待の禁止が規定されています。

 

・児童虐待の防止等に関する法律第2条

 

児童虐待の定義について記されています。

 

「児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。 」

 

「児童にわいせつな行為をすること、又は児童をしてわいせつな行為をさせること。 」

 

「児童の心身の正常な発達を妨げるような
著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による暴言や暴力など、
保護者としての監護を著しく怠ること(略)。」

 

「児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、
児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力の
身体に対する不法な攻撃であって
生命又は身体に危害を及ぼすもの。
その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと(略)。」

 

・児童虐待の防止等に関する法律第3条

 

児童に対する虐待の禁止について規定されています。

 

「何人も児童に対し、虐待をしてはならない。」

 

 

また、虐待の早期発見を図るため、学校の教職員や児童福祉施設の職員、
医師、保健師、弁護士等に役割が示されています。

 

・児童虐待の防止等に関する法律第5条

 

児童虐待の早期発見等について規定されています。

 

「学校、児童福祉施設、病院その他児童の福祉に
業務上関係のある団体及び学校の教職員、
児童福祉施設の職員、医師、保健師、弁護士
その他児童の福祉に職務上関係のある者は、
児童虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、
児童虐待の早期発見に努めなければならない。 」

 

「児童虐待の予防その他の児童虐待の防止並びに
児童虐待を受けた児童の保護及び自立の支援に関する
国及び地方公共団体の施策に協力するよう努めなければならない(略)。 」

 

「学校及び児童福祉施設は、児童及び保護者に対して、
児童虐待の防止のための教育又は啓発に努めなければならない。」

 

2004年の児童虐待の防止等に関する法律の改正では、
児童虐待の防止等に関する法律第6条に、児童虐待の通告義務の拡大が明記され、
第10条には、必要であれば警察署長の援助を要請すること、
そして、第11条には、虐待を行った保護者に対し、
親子再統合や良好な家庭的環境づくりなどに配慮した支援を行うことが規定されています。

 

さらに、虐待を受けた児童に対する教育や進学、就業の支援についてが第13条の2に追加され、
2007年の改正では、児童の虐待死など重大な被害を回避するための
児童の安全を確認する立ち入り調査などの強化が第9条に規定されました。

 

また、親が施設で保護されている児童に対して、
再び虐待を行うことがないように、児童虐待の防止等に関する法律第12条で、
施設入所児童への保護者による面会、通信の制限等も規定されています。

児童虐待と児童福祉法

 

2004年、児童福祉法の改正が行われ、
市町村における児童相談業務の強化や、
要保護児童対策地域協議会の設置などが明記されました。

 

このように、近年は、制度や施策が強化され、
子どもを守る地域ネットワークの構築と、
機能強化の取り組みがスタートしています。

 

児童虐待と児童相談所

 

児童虐待、若しくは児童虐待の疑いを発見したときの通告先となるのが、
児童相談所です。

 

児童相談所では、相談や通告、送致された場合、受理会議や調査・判定などを行い、
その上で支援方法を検討していきます。

 

・児童相談所の支援内容

 

子どもを家庭から引き離し、安全を確保する必要があると認められる場合は、
一時的に保護を行います。

 

親子分離をしないで、家庭訪問や通所でカウンセリングなどを提供する在宅指導を行います。

 

施設入所措置、里親委託、医療機関などへの斡旋などを行います。

 

親が親権を濫用する場合は、児童相談所長は、家庭裁判所に
親権喪失、若しくは2年以内の機関を定め、
親権停止の審判請求を行います。

 

児童福祉法と市町村・福祉事務所

 

児童相談所と同じように、市町村や福祉事務所は、
虐待や虐待が疑われる場合の通告先となっています。

 

また、市町村や福祉事務所は、
地域住民に身近な相談援助遺憾としての役割も担います。

 

さらに、市町村は子育て支援事業を通して、
福祉事務所は課程自動相談室や家庭相談員の相談援助活動を通して、
それぞれが幅広い子どもの家庭福祉業務を担っています。

 

児童虐待と保育所・幼稚園・学校

 

保育所や幼稚園、学校は、殆どの子どもの生活の場でもあります。

 

親と過ごすよりも長い時間を過ごす事になる保育所や幼稚園、学校に勤務する
保育士や幼稚園教諭、養護教諭、スクールカウンセラーなどは、
虐待の早期発見や対応に重要な役割を担う事になります。

 

また、保育所や幼稚園は、在宅育児課程に対する相談支援や
子育てサークル、子育てひろばなどの活動を通して、
虐待を予防する役割も期待されています。

 

保育士や幼稚園教諭、養護教諭、スクールカウンセラーなどは、
日々の子どもの様子や、親の様子を直接観察することができる立場にあることを、
自覚しておくことが必要です。

 

児童虐待と保育所・市町村保健センター

 

保健所や市町村保健センターは、乳幼児健康診断や訪問指導などを通して、
子どもの心身の発育や家庭支援に直接関わっていく機関です。

 

そのため、虐待の予防や早期発見の役割も担っています。

 

また、育児教室や親子教室を開催することで
親の孤立を防いだり、アルコール依存等の親を精神保健の側面から
支援をするなどし、虐待の予防に貢献することが期待されています。

 

児童虐待と児童福祉施設

 

児童福祉施設である乳児院や児童養護施設に入所する児童のうち、
近年増えているのは、虐待を受けたこともです。

 

また、情緒障害児短期治療施設や児童自立支援施設、
障害児施設においても、近年は虐待を受けた児童の割合が増えています。

 

児童福祉施設は、子どもが安心できるような生活環境を提供しながら、
虐待による深刻な症状を呈する子どもに対し、心理的ケアを提供します。

 

また、ファミリーソーシャルワーカー(家庭支援専門相談員)を中心に、
親子関係の調整や家庭復帰支援も実施します。

 

ただ、児童虐待相談は増え続けており、
保護された子どもの生活の場は全国的に不足しています。

 

子ども一人ひとりの最善の利益を考慮した専門的な対応を図るための、
職員配置基準の改善等が求められています。

 

児童虐待と専門里親

 

虐待を受け、心身に有害な影響を受けた子どもを、
2年以内の期間を定め養育する里親を「専門里親」といいます。

 

専門里親のもとで、より家庭に近い環境の中で、
子どもの心身の回復と成長を目指します。

 

専門里親になるためには、養育里親としての要件を備え、
3年以上の里親経験、児童福祉施設や機関での勤務経験を持ち、
一定の研修を受けることが要件となっています。

児童虐待対策に関するその他の機関

児童虐待に対する機関や、対応にあたる専門職は、
他にも以下のように広範囲にわたっています。

 

・児童委員(主任児童委員)
・母子生活支援施設
・医療機関
・家庭裁判所
・弁護士
・警察
・民間の虐待防止機関(子どもの虐待防止ネットワーク・あいち/愛知、
 子どもの虐待防止センター/東京、児童虐待防止協会/大阪)